1858-09

浪人浮浪雲

河合橋_森の石松_伯山

播磨介らしい人物が、死んでいる。 竜馬は街道を東に走って十丁。「この橋の真下でございます」(死んだか)「旦那、灯を」「照らしてくれ。おい、ちがうな。播磨介殿ではない」(例の彦根の侍だな)藤兵衛の短刀をひきぬいた。 このあたりでぐずぐずしてい...
浪人浮浪雲

江州水口宿 大前田栄五郎

江州水口宿に入った時は、陽もだいぶ傾いていた。水原播磨介の人相を説明し、尋ねるとーそれはあてとこです。と、いちばんおとなしそうな客引き女がいった。番頭の案内で部屋に通された時に、播磨介は、喜んだ。夕食には、どじょう汁が出た。 「ただいま、京...
浪人浮浪雲

河原町 大場の久八

竜馬は京に入った。 このところ、世上騒然としはじめているため、京に滞在する者は、宿所の軒先に 何藩何某 と張り紙を出すようフレを出している。「ほう、千葉道場の坂本ではないか」剣客仲間で、竜馬の名は、高くなっていた。 「旦那、どうかご勘弁を」...