幕末の落語

江戸落語の世界(芸能・娯楽)

三十石船 桂文枝

船が天満八軒屋から五里さかのぼって河州枚方についた時は、一番鶏の声が聞こえてきた。目が覚めた時には天がほのかに白み始めている。「どこかね、ここは」男は黙っている。旅の行商人風の男で、ひどく背が低いが顔は不釣り合いに大きい。「あんた、耳がない...