浪人浮浪雲

諸藩三百の大名の家臣・御役人から漏れた武士や、武家の家督を継げない次男三男四男五男…。また、幕末には農工商の身分から勝手に苗字帯刀をして浪人を名乗る者も現れた。

浪人浮浪雲

芹沢鴨 粛清

「帰った?あの壬生浪」と、お登勢が入ってきた。みぶろというのは、新撰組結成の初期、京の市中のひとがきらってつけた異名である。洛西壬生村に屯所をもつ壬生浪人、というところから出たものであろう。 竜馬がゆく4 P115 芹沢鴨(せりざわかも) ...
浪人浮浪雲

会津小鉄5

八坂の塔 女中が「お供が参っております」と告げた。土間には藤兵衛が控えている。「妙に虫の知らせがしたので、お顔だけ拝めれば、それでいいんです」「藤兵衛すぐ上がれ。お前のあとに人がつけている」 藤兵衛を表から逃すと、お田鶴とともに裏口から出た...
浪人浮浪雲

会津小鉄4

産寧坂 ふたたびお田鶴様から使いが来て、封書を手渡した。ー会いたい。という。指定の時刻は宵八時。ところも清水産寧坂の料亭「明保野」である。 「田鶴はこまるのです」「なぜですか」「そりゃ、女でございますもの」この時である。庭の植え込みが、わず...
浪人浮浪雲

会津小鉄3

智福院 吉田山に竜馬が登った時には、すでに夕暮れで、紅葉の色が、斜陽を含んで血をしたたらせたように艶かしかった。ほどなくしてお田鶴様もあらわれ、炉の向こうに座った。「竜馬殿もいいお顔つきになられました」「お田鶴様は、一段と美しく御成遊ばしま...
浪人浮浪雲

会津小鉄2

吉田山 藤兵衛が宿に戻ってきたのは翌朝である。「藤兵衛、お田鶴さまの元に密書を届けたか」「このとおり、お返事がございます」 都の花に嘯けば  月こそかかれ 吉田山という、京都旧第三高等学校の寮歌がある吉田山がお田鶴さまが竜馬へ指定した密会の...
浪人浮浪雲

会津小鉄1

(梅園さまのお屋敷に入って、南へ内塀を乗り越えていけば、三条様の屋敷に出られる) その時、藤兵衛の後ろから「おい、薬屋」と声をかけたものがいる。猿(ましら)の文吉といわれた目明しである「ワレァ、江戸もんやな。なぜ公卿屋敷の界隈をうろついとる...