浪人浮浪雲

諸藩三百の大名の家臣・御役人から漏れた武士や、武家の家督を継げない次男三男四男五男…。また、幕末には農工商の身分から勝手に苗字帯刀をして浪人を名乗る者も現れた。

浪人浮浪雲

芹沢鴨 粛清

「帰った?あの壬生浪」と、お登勢が入ってきた。みぶろというのは、新撰組結成の初期、京の市中のひとがきらってつけた異名である。洛西壬生村に屯所をもつ壬生浪人、というところから出たものであろう。 竜馬がゆく4 P115 芹沢鴨(せりざわかも) ...
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藤沢の宿 首つなぎの親分

藤沢の宿場に入った時には、旅籠は軒行燈にすっかり灯が入っている。 京なまりの武士は、竜馬と藤兵衛にしつこくすすめて、とうとう同宿させた。 「土佐の高知の坂本家と申せば、ご本家の才谷屋と並んで物持ちと聞いておりますが、その御曹司がなぜ路銀にお...
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無銭旅_ 多摩・一ノ宮万平

安政五年九月十五日 こんどの旅は奇行といっていい。無銭旅なのだ。 ーむかしの剣客というもんは、乞食をしながら武者修行したもんじゃ。 「夜道とは驚きましたね」寝待の藤兵衛は、ひたひたとついてくる。 「土佐まで付いてくる気か」「家来ですからね」...
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掛川の宿 清水次郎長

富士の見える街道筋に泊まりを重ねてやがて太田摂津守の城下町掛川にはいった。 近隣の村に秋祭りの祭囃子が聞こえる。 「播磨介さま。チクと見にゆきませんか」 用心深い播磨介もここ一両日例の虚無僧を見ていないので、つい竜馬の誘いに腰を上げた。 「...
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時雨蛤みやげにしやさんせ_次郎長一家の窮地

その後竜馬は、夜旅を避け用心した。播磨介も、すっかりこの護衛には感謝して、「坂本殿。このご恩は忘れませぬぞ」と、何度もいった。「なに、礼などいわれると」竜馬は嬉しそうに恐縮している。桑名 松平越中守の城下町である。旅籠の亭主が「ただいま、当...
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四日市_黒駒勝蔵

竜馬が目覚めた時には、すでに陽も高くなっていた。 (しまった) 旅館に戻ってみると宿の女主人が 「あんたさんどこへ行っておいでやすかえ。おつれさん、もし帰れば大急ぎで後を追ってくれと申し伝えてくれと、申されて」 「わかった」 竜馬は往来に出...