竜馬がゆく

竜馬がゆく

船中八策

「将軍が大政を奉還する。京の朝廷はお受けとりになさる。それだけではなんともなるまい。」と、竜馬は言った。「なるほど」京の朝廷は、おおげさにいえば源平時代この方、政権というものを持ったことがないのである。途中、南北朝のころ、後醍醐天皇が一時的...
幕末の女性

新徴組 中澤琴

あの浪士団は朝廷のご用のためのものでござりまする。と、ぬけぬけといっている。奇術師とすれば清河ほどの奇術師はいない。してやられた。とみな気づいた。奇術のたねがあとからあとから割れてゆく。が、清河は、度胸がいい。タネが割れてもせせら笑っている...
江戸落語の世界(芸能・娯楽)

頭に情景が… 棋聖・天野宗歩

突然学問をすると宣言した竜馬。資治通鑑を独学で学んでいると聞きつけた若侍たちに音読で読んで聞かすと支離滅裂な我流・・たまらず皆が笑い出し・・「タマルカ」そううごめいている。これが辛抱できようかという意味である。「竜馬、それでは意味がわかるま...
竜馬がゆく

下関についた 白石正一郎

下関には、藩主毛利公から名字帯刀を許された豪商で、白石正一郎というふしぎな人物がいる。ふしぎな、というのは、商人のくせにこの時代、めずらしく尊皇攘夷の志士で、長州藩の過激派を始め、諸藩脱藩浪士をかくまったり、泊めたり、資金を与えたりして、影...
土佐藩

ちょっと用足し 井口村刃傷事件 その後

午後になって、飛び込んできた数人の気の荒い軽格連中が、「坂本さん、いよいよ戦さじゃぞっ」と叫んだ。「なぜじゃ」「上士の連中が、死んだ鬼山田の屋敷に集結していて、池田寅之進の屋敷に斬り込もうとしている。すぐ池田屋敷に来てくれ。総大将のあんたが...
土佐藩

鬼山田 井口村刃傷事件1

その日は、三月四日。雛の節句である。土佐藩では、この日、上士が総登城して、殿様から御酒をいただく慣習がある。その夜。午後8時頃であったらしい。城下がひっくり返るような刃傷事件がおこった。上士に、「鬼山田」といわれた一刀流の刺客がある。名は、...