竜馬がゆく

江戸時代の常識・風習

男子三日見ざれば刮目せよ_薬食い

嘉永七年六月三日 竜馬にも平和な日常が戻って来た。土佐藩品川の臨戦態勢が解かれ、桶町の千葉道場に戻った。道場に戻った竜馬は以前の月代が伸びた山賊頭でなく、総髪が十分に伸び、髷が言えるまでになった。 「立派になった」と喜んでくれたのは大先生の...
江戸時代の常識・風習

狐につままれる_憑き物

嘉永七年十月十五日 (しまった)夜明けになって竜馬はひどくのどが渇いて目が覚めた。 「おめざめになりました?」 「ワシとしたことがあれしきの酒で?」 「坂本さま。約束通り男女の道を教えてあげたことをおぼえてらっしゃる」 「えっ」(知らぬわい...
幕末の女性

栄姉さん

なまくら(鈍刀)をもって発つかうとうとした。一刻ばかり、ねむったらしい。たれかが入ってきた気配に竜馬はとびおきた。姉のお栄であった。「なんだ、姉さんか」「竜馬さん、刀をおさがしだそうですね」「あ、もうご存じですか。どうもうちの家内、親族一党...
江戸落語の世界(芸能・娯楽)

酒井雅楽頭(さかいうたのかみ)

「また行くんだよ」と勝は龍馬に行った。これで今年に入って四度目の京阪ゆきということになる。「老中酒井雅楽頭(さかいうたのかみ)を乗せて、さ。二、三日中に品川出帆の予定だ。なんならお前さんもその艦で帰ればよかろう。順動丸だ」「そうしましょうか...
竜馬がゆく

日本を今一度せんたくいたし

故郷の姉に手紙をかいている竜馬の筆さきを、おりょうは横からそっとのぞきこんだ。「これこれ、のぞき見するような不作法はいかん」と竜馬はいった。なぜなら、おりょうの婦人としての教養のために、小笠原流諸礼の本や、習字の折手本などを送れと書いている...
徳川幕府

吉田稔麿

稔麿は、元結を結び始めた。が、ふしぎと三度結び、三度とも切れて四度めにやっと結べた。(おかしいな)と、乃美老人はだまってみている。「今宵、池田屋へ行くのをやめたらどうだ。元結が三度も切れるとは、不吉ではないか」「行きます」竜馬がゆく5 P8...