江戸時代の常識・風習

江戸時代の常識・風習

三十本勝負_八百長

嘉永七年十月十六日 竜馬と重太郎は、道場の東西からそれぞれ竹刀を携げて中央に進み出てきた。 (この勝負、一本も竜馬に譲れぬぞ)重太郎は、下段に取った。 切っ先がセキレイの尾のように動いている。これが北辰一刀流の特徴であった。 竜馬は大上段で...
幕末の女性

コオロギの声_落籍

暑い夏が過ぎて、路地のあちこちでコオロギの声を聞くようになった頃、久しぶりに寝待ちの藤兵衛が道場にたずねてきた。 竜馬は重太郎の部屋を借りた。お冴の仇討ち以来である 「少し遠くに出かけていました」 「西国にいっていたのか」 「いいえ、出羽か...
江戸時代の常識・風習

男子三日見ざれば刮目せよ_薬食い

嘉永七年六月三日 竜馬にも平和な日常が戻って来た。土佐藩品川の臨戦態勢が解かれ、桶町の千葉道場に戻った。道場に戻った竜馬は以前の月代が伸びた山賊頭でなく、総髪が十分に伸び、髷が言えるまでになった。 「立派になった」と喜んでくれたのは大先生の...
江戸時代の常識・風習

狐につままれる_憑き物

嘉永七年十月十五日 (しまった)夜明けになって竜馬はひどくのどが渇いて目が覚めた。 「おめざめになりました?」 「ワシとしたことがあれしきの酒で?」 「坂本さま。約束通り男女の道を教えてあげたことをおぼえてらっしゃる」 「えっ」(知らぬわい...
幕末の女性

栄姉さん

なまくら(鈍刀)をもって発つかうとうとした。一刻ばかり、ねむったらしい。たれかが入ってきた気配に竜馬はとびおきた。姉のお栄であった。「なんだ、姉さんか」「竜馬さん、刀をおさがしだそうですね」「あ、もうご存じですか。どうもうちの家内、親族一党...