竜馬がゆく

武市の革新内閣

一方、土佐では武市半平太黒幕の革新内閣が曲がりなりにも出来上がっていた。「竜馬ぁ、早まりやがった」あまり愚痴を言わぬ男だが、こと竜馬の話になると、その脱藩を惜しんだ。しかし竜馬は、武市の成功のうわさを、海をへだた上方の地できいて「砂上の楼閣...
竜馬がゆく

新町橋のたもと

「坂本さん」と背後から、押しつぶしたような低い声で、呼びかけた者があった。「なんぞ」とふりむくと、眉太く、眼するどく、口の異様に大きな武士がにこりともせずに立っている。「おう、おまん、岩崎弥太郎ではないか」なつかしそうに、寄って行った。が、...
竜馬がゆく

参勤交代の瓦解

「妙だねえ」竜馬は感心しながら歩いている。街道に人が多いのだ。竜馬はもう三度目の東海道下りだが、こんなに街道が賑わうのを見たことがない。それも、江戸下りではなくて、どんどん向こうから来る。しかも女が多い。豪華な女乗物が、御殿女中や武士にかこ...
竜馬がゆく

摂津西宮

竜馬と沢村は翌朝出帆。途中、海上が荒れた。退避したり、かと思うと、塩飽列島(しあくれっとう)のあたりで異常な凪にあい、数日風待ちをしたりして、摂津西宮についたのは、文久二年四月二十一日のことであった。「沢村、事に遅れるかもしれんな」と、さす...
竜馬がゆく

清河八郎と会う

日時仮「京都義挙の一件、あれは俺の作者さ」清河はいった。ホラではなかった。清河八郎は、ホラをふいて自分を膨らまさねばならぬほど、貧弱な男ではない。「あんたがねえ」世間とは妙なものだ、と龍馬はわれとわが身がおかしかった。清河がどこかで吹き上げ...
土佐藩

江戸三大道場

江戸には、若い血気の武士の大巣窟が三つある。神田お玉ケ池・桶町の千葉道場 塾頭 坂本竜馬麹町・神道無念流 斎藤弥九郎道場 塾頭 桂小五郎京橋あさり河岸・桃井春蔵道場 塾頭 武市半平太この三道場はそれぞれ千数百人ずつの若い剣術諸生を収容してい...