浪人浮浪雲

掛川の宿 清水次郎長

富士の見える街道筋に泊まりを重ねてやがて太田摂津守の城下町掛川にはいった。近隣の村に秋祭りの祭囃子が聞こえる。「播磨介さま。チクと見にゆきませんか」用心深い播磨介もここ一両日例の虚無僧を見ていないので、つい竜馬の誘いに腰を上げた。「はて、祭...
浪人浮浪雲

時雨蛤みやげにしやさんせ_次郎長一家の窮地

その後竜馬は、夜旅を避け用心した。播磨介も、すっかりこの護衛には感謝して、「坂本殿。このご恩は忘れませぬぞ」と、何度もいった。「なに、礼などいわれると」竜馬は嬉しそうに恐縮している。桑名 松平越中守の城下町である。旅籠の亭主が「ただいま、当...
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四日市_黒駒勝蔵

竜馬が目覚めた時には、すでに陽も高くなっていた。(しまった)旅館に戻ってみると宿の女主人が「あんたさんどこへ行っておいでやすかえ。おつれさん、もし帰れば大急ぎで後を追ってくれと申し伝えてくれと、申されて」「わかった」竜馬は往来に出た。後ろか...
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亀山_祐天仙之助

小間物屋赤蔵が旅籠大和屋に入って播磨介を尋ねると、その方は泊まっていないという。「旦那、変事があったのかもしれません」「そんなことはなかろう」「お城下の新町に兄貴分の水屋伊助までご足労を」「赤蔵、この伊助も盗賊か」「めっそうもない。若い頃は...
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河合橋_森の石松_伯山

播磨介らしい人物が、死んでいる。竜馬は街道を東に走って十丁。「この橋の真下でございます」(死んだか)「旦那、灯を」「照らしてくれ。おい、ちがうな。播磨介殿ではない」(例の彦根の侍だな)藤兵衛の短刀をひきぬいた。このあたりでぐずぐずしているは...
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江州水口宿 大前田栄五郎

江州水口宿に入った時は、陽もだいぶ傾いていた。水原播磨介の人相を説明し、尋ねるとーそれはあてとこです。と、いちばんおとなしそうな客引き女がいった。番頭の案内で部屋に通された時に、播磨介は、喜んだ。夕食には、どじょう汁が出た。「ただいま、京都...