1862-06

竜馬がゆく

武市の革新内閣

一方、土佐では武市半平太黒幕の革新内閣が曲がりなりにも出来上がっていた。「竜馬ぁ、早まりやがった」あまり愚痴を言わぬ男だが、こと竜馬の話になると、その脱藩を惜しんだ。しかし竜馬は、武市の成功のうわさを、海をへだた上方の地できいて「砂上の楼閣...
竜馬がゆく

新町橋のたもと

「坂本さん」と背後から、押しつぶしたような低い声で、呼びかけた者があった。「なんぞ」とふりむくと、眉太く、眼するどく、口の異様に大きな武士がにこりともせずに立っている。「おう、おまん、岩崎弥太郎ではないか」なつかしそうに、寄って行った。が、...
竜馬がゆく

清河八郎と会う

日時仮 「京都義挙の一件、あれは俺の作者さ」清河はいった。ホラではなかった。清河八郎は、ホラをふいて自分を膨らまさねばならぬほど、貧弱な男ではない。「あんたがねえ」世間とは妙なものだ、と龍馬はわれとわが身がおかしかった。清河がどこかで吹き上...