1853-03-22

竜馬がゆく

鳴門海峡

嘉永六年三月二十二日 -船が出たのは、翌る未明である。 お田鶴さまは、胴の間の一角を定紋入りの幕でかこんだ籍に入った。 「竜馬どのも、ここにいらせられますように」 とお田鶴さまは声をかけてくれたが、竜馬は 「いや」といったきり、船の上に出て...