土佐藩べこのかあ 「なんじゃ、坂本。そのかっこうは。人を嘲斎坊(ちょうさいぼう)にしくさるか」「おれは、べこのかぁじゃけんのう。べこのかあがべこのかあどもを退治するのは、この格好が一番えぇ」「ちぇっ、この べこのかあぁ」せまい部屋に土佐言葉の罵声がはんらんし... 1853.04.18土佐藩竜馬がゆく
土佐藩あぎ 嘉永六年四月十七日 竜馬は江戸に入ると、まっすぐに内桜田の鍛冶場御門へゆき、土佐藩下屋敷で草鞋を脱いだ。藩邸ではよく心得ていて、泊まるべき長屋に案内してくれた。 相住まいの者が一人いると言う。見回してみると、掃除が行き届いている。こう言う相... 1853.04.17土佐藩竜馬がゆく
竜馬がゆく吉田宿 嘉永六年四月四日 途中、雨の日が二日、風の日が二日あった。 桑名の渡しでは、船町に一日無駄にしたが、あとは快晴が続き、竜馬は快い初旅になった。 その浪人を再び見かけたのは、参州吉田の宿の茶店で昼がわりの餅を食べていた時であった。 「坂本の旦... 1853.04.04竜馬がゆく
竜馬がゆく潮見坂 嘉永六年四月六日 さいわい、六本矢車の浪人に追いつかれることなく、竜馬と藤兵衛はやがて潮見坂に差し掛かった。 (ほう)芽が洗われるようなおもいがした。 「藤兵衛、この景色をみろ」 「へい」 「気のないかおだなぁ」 「見慣れておりますんで」 ... 1853.04.06竜馬がゆく