土佐藩

龍馬、四天王寺の果たし合い

事件がおこったのは、それから数日のちである。早朝、竜馬が自室で朝飯を食っていると、陸奥陽之助が、例の無愛想な美少年づらであらわれた。「坂本さん、あなたは北辰一刀流の名人だと聞きましたが、ほんとうですか」「朝っぱらから、何を言いやがる」〜〜「...
徳川幕府

ジョン万次郎

色が黒く、眉がせまり、いかついあごが、いかにも強靱そうな意志をあらわしていた。「坂本君、この仁はどなただとおもう」と、勝はいった。「さあ」竜馬は、男の顔を見た。「お前さんと、同国の人だよ。有名な中浜万次郎氏だ」(あっ)竜馬はおもいあたった。...
竜馬がゆく

勤王の塾の風 池田慶徳

当道場の若先生千葉重太郎は、鳥取藩のお床几廻り役として江戸屋敷に出仕しているが、数日前から、海防視察という藩命で、品海視察に出かけている。 「近ごろは、うちの重太郎までが、天朝様がどうの、攘夷がどうの、といいだしたよ」「鳥取藩(池田家)は勤...
竜馬がゆく

桶町の剣術道場

竜馬は、桶町千葉の門前に立った。(なにもかも昔どおりだ)と、門を仰ぎ、塀のくずれをなつかしくながめた。玄関に立った。「竜馬です」というと、門弟がとりつぎに出た。竜馬にとって知らない顔である。が、向こうはすぐ察したらしく「あっ坂本先生」と、挨...
土佐藩

大石弥太郎

竜馬が書物を読んじょる。 といううわさが、城下の若侍のあいだにひろがったのは、それからほどもないころである。 物見高い土地柄だ。これという娯楽のない城下だから、知人のうわさがすべて酒のサカナになる。おたがいみな劇中の人物である。  それに、...
長州藩

高杉晋作・上海へ

上海留学へ 長州藩内では、長井雅楽の「航海遠略策」が藩論として採用されており、公武合体派の勢いが優っていました。高杉晋作は、桂小五郎に長井雅楽暗殺計画を持ちかけるほど不満が溜まります。安易な暗殺で優秀な高杉を失いたくなかった桂は、海外留学を...