徳川幕府

土佐藩

わしは、雑兵じゃな

嘉永六年六月四日 土佐藩邸 第一夜の指示は、待機。 ほかに指示といえば、竜馬たち江戸遊学の諸生も臨時藩兵としてさし入れられたぐらいのことである。これで江戸における土佐の藩兵は四百人に成る。 「わしは、雑兵じゃな」 ところが、武市半平太も雑兵...
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黒船来航 第一夜の指示は、

嘉永六年六月三日 竜「武市さん、なにやら大変らしいなあ」 「ああ」武市は落ち着いた男なのである。 竜「いったい、どう大変なのだ」 「知らないで君は騒いでいるのか」武市は、竜馬をあわれむようにみて、 「黒船がきたのだ」 竜「武市さん、黒船のこ...
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いかん、戦じゃ

嘉永六年六月十日 「いかん、戦じゃ」 竜馬は走った。(あの船の様子では、品川を襲うぞ) (えい、馬泥棒じゃ) 背後で騒ぐ声がきこえたが、ふりむきもしない。 竜馬は、この時から、自分の人生に向かって飛ぶように駆けはじめたといったほうが当たって...
徳川幕府

一隻で大名じゃ

嘉永六年六月九日 浦賀 三人と別れた竜馬は、足のつづくかぎり浦賀街道を南に向かって駆けた。 夜が明け、昼は山中で寝た。浦賀についたのは、翌々日の未明である。 ペリー艦隊が浦賀にきた真相は、ずっとのちになってイギリス人グラバーから聞いたものだ...
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黒船生け捕り

嘉永六年六月7日 品川藩邸 その夜、千葉重太郎とさな子を連れ、夜影に紛れて四人で品川の藩邸を抜け出したのである。 目指す相手は浦賀の沖にうかぶ米国艦隊であった。 「なあに、造作はなかろう、一隻一人ずつだ」 「竜さんは豪傑だなぁ」 =====...