1858-11-15

土佐藩

大石弥太郎

竜馬が書物を読んじょる。 といううわさが、城下の若侍のあいだにひろがったのは、それからほどもないころである。 物見高い土地柄だ。これという娯楽のない城下だから、知人のうわさがすべて酒のサカナになる。おたがいみな劇中の人物である。  それに、...