1853-01

文化人教養人

北里柴三郎

竜馬の指の傷は、翌々日になってやっと血が止まった。「指の傷ともいえんな」と、竜馬はつきっきりの看病をしているおりょうにいった。「体が雲に乗っているようだ」極度の貧血状態にあり、頭がうずき、ときどき心臓の鼓動までおかしい。西郷がよこした外科医...