土佐藩

高麗橋_岡田以蔵

嘉永六年三月二十四日 暗い。提灯を持たない竜馬は、橋の欄干に身をすり寄せるように歩いた。「おい」と声を殺して呼びかけたものがある。あっと竜馬は前へ飛んだ。はかまの裾が切り裂かれたのが、足の感触でわかった。龍馬は、じりじりとさがって、橋のたも...
竜馬がゆく

以蔵捕まる

藩の上層部は「以蔵が幕吏につかまった」と聞いたとき、手を于ってよろこび、「武市一派を白状させる生き証人を得た。ぜひとも身柄をとらえて国もとに送れ」ということになったのである。駕籠にほうりこまれた以蔵は、狂わんばかりにしてどなった。「わしは無...
土佐藩

坂本家_坂本権平

お国帰り 竜馬は、寝待ノ藤兵衛とわかれて、単身土佐へ帰った。 藤兵衛が国もとまでついてこなかったのは遠慮したのである。-あっしみてえなのがお供について帰っちゃ、せっかくのお国帰りの錦がよごれます。========= 竜馬にとって、江戸出発以...
薩摩藩

薩英戦争始まる

「英国の東洋艦隊が、日本の一侯国と戦って敗退したという報道はロンドン・タイムズに載った。これが英国政府にえらく衝撃をあたえたらしい。」と、竜馬は勝海舟からきいたことがある。英国会議では責任者のクーパー提督を非難する議員もあり、この戦闘が契機...
江戸落語の世界(芸能・娯楽)

厄払い

嘉永七年六月十日 黒船どもは六月一日に下田を去っていったが、騒ぎがおさまったわけでは無い。 攘夷論がやかましくなった。武士のあいだで幕府批判が流行っていたのだ。 江戸庶民もかれらなりに落ち着きを失っていた。「地震」の噂である。 竜馬が江戸に...
竜馬がゆく

剣術大会

安政四年十月十六日 「竜さん。この秋、土佐藩山内候の肝いりで剣術試合が行われる」重太郎が畳の上に寝転がっている竜馬の顔をのぞいた 「山内候といえば、おれの殿様じゃないか」 「大名が剣客の世話方を務めるなど、世も変わった。噂では肝っ玉のねじれ...