江戸落語の世界(芸能・娯楽)

枡屋喜右衛門と京都気質

ふと河原町の往来で会った顔見知りの町人が「枡屋はん、ちかごろ繁昌どすなぁ、よろしおすな」となにげなくいった。町人姿の俊太郎は、ぎょっとした。「いえいえ左様なことはござりませぬ。まだ祇園会の前で、夏枯れは早いはずでございますに、商いはすっかり...
文化人教養人

緒方洪庵

足守藩(現在の岡山県)出身の緒方洪庵は、江戸・長崎で蘭学や西洋医学を学んだのち、大坂で開業医とともに、最新の蘭学塾として適々斎塾(適塾)を開いた。ここには、福沢諭吉をはじめ、橋本左内、大村益次郎、大鳥圭介ら、多くの優秀な人材が集まった。 幕...
江戸時代の常識・風習

狐につままれる_憑き物

嘉永七年十月十五日 (しまった)夜明けになって竜馬はひどくのどが渇いて目が覚めた。 「おめざめになりました?」 「ワシとしたことがあれしきの酒で?」 「坂本さま。約束通り男女の道を教えてあげたことをおぼえてらっしゃる」 「えっ」(知らぬわい...
幕末の女性

栄姉さん

なまくら(鈍刀)をもって発つかうとうとした。一刻ばかり、ねむったらしい。たれかが入ってきた気配に竜馬はとびおきた。姉のお栄であった。「なんだ、姉さんか」「竜馬さん、刀をおさがしだそうですね」「あ、もうご存じですか。どうもうちの家内、親族一党...
江戸落語の世界(芸能・娯楽)

酒井雅楽頭(さかいうたのかみ)

「また行くんだよ」と勝は龍馬に行った。これで今年に入って四度目の京阪ゆきということになる。「老中酒井雅楽頭(さかいうたのかみ)を乗せて、さ。二、三日中に品川出帆の予定だ。なんならお前さんもその艦で帰ればよかろう。順動丸だ」「そうしましょうか...
竜馬がゆく

日本を今一度せんたくいたし

故郷の姉に手紙をかいている竜馬の筆さきを、おりょうは横からそっとのぞきこんだ。「これこれ、のぞき見するような不作法はいかん」と竜馬はいった。なぜなら、おりょうの婦人としての教養のために、小笠原流諸礼の本や、習字の折手本などを送れと書いている...