1866-01

幕末の女性

寺田屋お登勢

「じゃ、その薩長連合を遂げれば」とお登勢が思わず膝をすすめると、竜馬は手で制し、「おいおい、声が大きすぎる。近所に聞こえるわぃ」といった。「きこえやしませんよ。ここは2階だし、ご近所はもう寝静まっていますから」「軒下を幕府の偵使が歩いちょる...
竜馬がゆく

薩長同盟

竜馬はだまっている。やがて火鉢のふちをつかみ、「委細は桂君から聞きました」と、迫るようにいった。「ほう」「西郷君、もうよいかげんに体面あそびはやめなさい。いや、よい。話はざっときいた。桂の話をききながら、わしはなみだが出てどうにもならなんだ...
豪商・商人

竜馬の写真

「なんだ」三岡が手にとると、竜馬の写真であった。「おれの写真さ。このさきどうなるかわからん。万一のときの形見だと思ってくれ」と、竜馬はいった。「そうかね」三岡はつぶやき、竜馬の顔をみた。竜馬がゆく 8P377 長崎 上野撮影局 日本最初の戦...
徳川幕府

龍馬襲撃

(捕吏。)と思ったとたん、おりょうはそのままの姿で湯殿をとびだした。自分が裸でいる、などは考えもしなかった。裏階段から夢中で二階へあがり、奥の一室にとびこむや。「坂本さま、三吉さま、捕り物でございます」と小さく、しかし鋭く叫んだ。竜馬はその...