池田屋騒動

池田屋楼上の志士たちは、とっくに命を捨ててかかっている。
それを狙うもう一つの佐幕派志士団も、命を捨ててかかっていた。
新撰組である。
この官設浪士団が結成される時、幕閣の一部では、
「毒をもって毒を制す」
という意味で、賛意を表したものがあった。

竜馬がゆく5 P99

祇園祭が近づく京で、長州・土州・会津・新撰組が騒動を起こす池田屋騒動。
池田屋事変、池田屋騒動とも。近藤勇は書面で洛陽動乱と名づけています。

池田屋騒動

尊王攘夷を目指す長州派の勢力は、前年の文久三年(1863年)に公武合体を目指す薩摩藩や会津藩の計略で京都から追放されていました。
長州派は勢力回復を目指して京の町で様々な動きを行なっていましたが、その中で京の町を焼き討ちする計画があり、噂が新鮮ん組にも漏れ聞こえてきました。
その動きを止めようと会津藩の命を受けた新撰組が調べたところ、元治元年6月5日に重要な会合があることを聞きつけます。
当日、新撰組が二手に別れて捜索開始。池田屋に長州派が集まっていることを突き止めた局長・近藤勇、沖田総士らは、会津藩の応援を待っていましたが、この機会を逃したくない近藤ら4名が池田屋に突入します。2階に駆け上がり部屋を捜索すると尊王攘夷派の集団を発見。新撰組は人数的に少ないなか果敢に攻め入り激しい斬り合いが始まりました。
劣勢を強いられていた近藤勇たちでしたが土方隊が到着すると一気に有利になり、ついには吉田稔麿ら9名を殺害し、20名以上の尊王攘夷派を捕らえました。
尊攘派は吉田稔麿、北添佶摩、宮部鼎蔵、大高又次郎、石川潤次郎、杉山松助、松田重助らが命を落とす事になりました。

土佐藩の池田屋騒動

NHK歴史探偵2021年「真相!池田屋事件」より

池田屋騒動に集まった長州派の中には数名の生き残りがいました。そして、その時の詳しい内容が、「和田義亮の履歴書(自伝の事・京大に残る)」や土佐藩の「調査報告書(坂本龍馬記念館に残る)」として残っています。
新撰組が記した池田屋騒動は、近藤勇が「洛陽動乱」と銘打っているようにやや誇張があるかもしれません。一方で襲われた人間が土佐藩に報告した内容は正規の報告書なので、実際に近いんじゃないのか?ということです。

新撰組の手記など長州派の各報告書より
死者7〜9名、戦闘約二時間死者5名、約一時間あまり
メンバーは長州人メンバーは
長州・土州・肥州出の浪人と近所の町人
新撰組は4人、
相手は20人以上
1階と2階に別れて皆で11人程度
万夫乃勇者誠に危急
(勇ましい戦いになり命が危なかった)
池田屋に入るときに大刀は預けていたため、
小刀で対応するしかなかった

確かにその日も池田屋で会合があった。店に入り何人かは大刀を預け1階2階に別れてそれぞれ話をしていた。
その日に町人から活動資金300両を借り受けることが決まり当面は金の心配がなくなり安心して皆で酒を飲んでいた。
そこに飛び込んできた新撰組は、2箇所の階段を抑え2階に駆け上がり小刀だけの長州派と戦闘となる。
1階に残った仲間は、初めは2階はドンドンと楽しく飲んでいるんだと勘違い。ところが「新撰組の改め」が入ったことを知り、太刀もなく慌てて縁の下や風呂桶の中などに隠れるしかなかった。くまなく調べられるとすぐ見つかると覚悟していたが、小一時間の戦闘が終わると「次に向かうぞ」と新撰組の連中は、飛び出していった。

土佐藩の報告書を要約
祇園祭は別名・はもまつり。京では骨切りはもの洗いで涼をとりながら祭を楽しみます。

会津藩の資料では
「その日は、祇園や大仏あたりまで駆け回り、翌朝八時ごろにすこしずつ引き上げる」とありました。
長州派が京の市中に火を放つという噂で、実行犯の潜伏場所が突き止められなかった新撰組と会津藩。
この日に取り調べを決行し、池田屋だけでなく長州派の出入りしている場所を20箇所以上を急襲して、脱藩浪人はもとより町人まで見境なく逮捕してしまいました。
(新撰組が、池田屋騒動で長州派を一網打尽にしたドラマチックなイメージが少し変わるかも)

映画化される池田屋騒動

蒲田行進曲

池田屋騒動を1980年代の日本国中の老若男女に広めた映画。
いや、池田屋の「階段落ち」を印象付けた作品かもしれません。
小劇場ブームの一角つかこうへい作・演出の戯曲。第15回紀伊國屋演劇賞を受賞。
(内容)大作映画「新選組」の撮影。クライマックスは池田屋に討ち入った新撰組隊士が大階段の上から斬りおとし、壮絶に落下して行くその様を大迫力で映し出して映画を締めくくる、いわゆる『階段落ち』である。
スタントを担当する“大部屋”役者と看板役者、その恋人との人間関係の物語。
松坂慶子・風間杜夫・平田満の3人による人間模様は今も色褪せません。

燃えよ剣 

2021年9月10日追記
司馬遼太郎の歴史小説。組織作りの異才をもって幕末最強の武装集団を作り上げた、新選組副長・土方歳三の生涯を描く代表作の一つ。
2021年10月15日映画上映開始(新型コロナで1年以上上映見合わせ)
バラガキ土方歳三には、岡田准一が主演。近藤勇を鈴木亮平。沖田総士を山田涼介。清河八郎を高嶋政宏。藤堂平助を金田晢など
ストーリーには「原作をベースに、企画時に定説として知られる事象を採用して制作」とあります。

沖田総士役の山田涼介(Hey! Say! JUMP)は、患っていく沖田の役作りのための減量を、鈴木亮平(大河ドラマ『西郷どん』などで体重増加の役作り)や岡田准一(映画『ザ・ファブル』など体型の役作りも多い)から伝授される。
岡田が「僕はもう二度とやりたくないっていうような方法を言ったら、本当に実践していて」と明かすと、山田は「そのときは一番きついと言ってなかったですよね」(2021.9.9完成報告イベントより)

祇園祭2