日本を今一度せんたくいたし

故郷の姉に手紙をかいている竜馬の筆さきを、おりょうは横からそっとのぞきこんだ。
「これこれ、のぞき見するような不作法はいかん」
と竜馬はいった。
なぜなら、おりょうの婦人としての教養のために、小笠原流諸礼の本や、習字の折手本などを送れと書いている最中だったからだ。
「厭や、見ます」
と、おりょうは、ちかごろすっかり竜馬になれてきている。

竜馬がゆく4 P120

日本を今一度せんたくいたし申候事ニいたすべく

この一文は、龍馬の手紙で

この書簡の「日本ニッポンを今一度せんたくいたし申候事ニいたすべく……」は、龍馬の認識が既に日本全体にあることを明確に表しています。このあと、出家を願望する姉の乙女を、得意のユーモアでからかい、最後に、越前福井藩に招かれている横井小楠の示した「国是七条」に国の改革のヒントを得た喜びを綴っています。(真物:京都国立博物館所蔵〈国指定重要文化財〉)