1862-08

竜馬がゆく

生麦事件

香港ずれをした不幸な四人の英国人は、そういうすべてを、軽くみた。日曜日。快晴である。馬上、談笑しながら東へ進んだ。向こうから薩摩の行列がやってくるのだが、歩度をゆるめようともせず、むろん、馬からおりようともしない。当時、このあたりの街道は、...
竜馬がゆく

勤王の塾の風 池田慶徳

当道場の若先生千葉重太郎は、鳥取藩のお床几廻り役として江戸屋敷に出仕しているが、数日前から、海防視察という藩命で、品海視察に出かけている。 「近ごろは、うちの重太郎までが、天朝様がどうの、攘夷がどうの、といいだしたよ」「鳥取藩(池田家)は勤...
竜馬がゆく

桶町の剣術道場

竜馬は、桶町千葉の門前に立った。(なにもかも昔どおりだ)と、門を仰ぎ、塀のくずれをなつかしくながめた。玄関に立った。「竜馬です」というと、門弟がとりつぎに出た。竜馬にとって知らない顔である。が、向こうはすぐ察したらしく「あっ坂本先生」と、挨...