1862-03

竜馬がゆく

才谷屋

竜馬は、脱藩の準備をはじめた。脱藩には、金がいる。刀も、業物が欲しい。脱藩すれば、藩の庇護から離れ、天涯の孤客になる。身を守るのは腰間の一刀のみである。(どうするか)ふらりと、竜馬は才谷屋をたずねた。〜〜〜「刀蔵の中を見たいのさ」「竜さん、...
幕末の女性

栄姉さん

なまくら(鈍刀)をもって発つかうとうとした。一刻ばかり、ねむったらしい。たれかが入ってきた気配に竜馬はとびおきた。姉のお栄であった。「なんだ、姉さんか」「竜馬さん、刀をおさがしだそうですね」「あ、もうご存じですか。どうもうちの家内、親族一党...
竜馬がゆく

島津久光、出陣

この前後、竜馬の一生を一変させる情報が四国山脈を越えて土佐に入ってきた。「薩摩の島津久光が大軍を率いて京に入り、天子を擁して幕府の政道を正す」というのだ。幕末、この情報ほど天下の志士を興奮させたものはなかった。薩摩藩が、現在の言葉で言えば、...
竜馬がゆく

長州・三田尻

船で、長州三田尻についた。竜馬は、伝馬で桟橋に着くなり、天下におどりでるような気持ちで、陸地に足をつけた。「おい、沢村っ」と、惣之丞をよんだ。「いよいよじゃな。これからどこへいくんじゃ。ええ方角につれてゆけ」(竜馬がゆく3 P15) 薩摩郡...
幕末の女性

乙女の決断

「私が龍馬でも、脱藩します。男でないのが、くやしいくらいです」どうやら話の風むきがかわってきた。「泰平の世ならべつ。こんな時勢に女にうまれてきたことは、くやしくて仕方がありません。竜馬も、そう思うでしょう」「そうですな」武芸にも長じ、肚も大...
土佐藩

沢村惣之丞と脱藩

武市一派の東洋暗殺にさきだつ十四日前の文久二年三月二四日、闇にまぎれて脱藩してしまっていた。兄の権平は、気が小さいくせに、生来ののんき者だ。五日ばかり経ってから、「のう、お栄。ちかごろ屋敷に竜馬めの姿がみえんが、どこへ泊まりあるいちょるかの...