ちょっと用足し 井口村刃傷事件3

鬼山田の屋敷は、定紋をうった高貼提灯が出ていて、しきりと上士の連中やその共の者が出入りしていた。
竜馬は、門前で放尿し、やがて門内へ入った。
「お城下、本町一丁目の郷士、坂本権平の弟、竜馬です。お取り込み中で恐れ入る。どなたか、おられませんかな」
(竜馬がゆく2 P203)

井口村刃傷事件3

寅之進が突発的に割腹

郷士・上士ともににらみ合いが続く。刃物沙汰に展開すれば土佐藩はなくなってします。落とし所がない状態で、郷士に詰め寄る。
中と外で押し問答が続く中、寅之進が突発的に刀を腹に突き刺し割腹。皆に迷惑が掛かることを恐れた上での切腹であった。


これを見た上士側は「宇賀喜久馬も切腹させよ」と要求。しかし、喜久馬はまだ歳若く、事件には一切関わっていないとして龍馬は喜久馬を守ろうとするも、このままでは喜久馬が上士等に斬り殺されるだけに収まらず、ここに居る全員が殺されるとして、流石の龍馬も助命を断念せざるを得なかった。

事件後の対応

事件後、藩は上士の山田の父新八を謹慎処分としたが、弟次郎八には家督の相続を許す。
一方で事件に巻き込まれた形の郷士・松井家と宇賀家は断絶処分、中平家と池田家は格禄没収との処分がなされた。この決定に郷士側の人々は憤り、事件より半年後に結成される「土佐勤王党」の勢力拡大へとつながる一つの要因ともなっていったと言われる。