1856-11

幕末の女性

夫婦の呼び方

安政三年秋桶町千葉に帰ると、師匠の貞吉も重太郎も涙をにじませて喜んだ。重太郎は、小柄で美しい内儀をもらっていた。「八寸、酒」と重太郎はちょっと威張って命令した。「竜さん、女房はいいものだぞ。貰ったらどうだ」「あんたのような惣領ではない。われ...
江戸時代の常識・風習

藤兵衛

安政三年 十一月二十日 千葉道場の竜馬の所にめずらしい客が来た。寝待の藤兵衛だ。 「何の用だ」 「用ってもんじゃねえんですが、一つは旦那の顔を見たさと、もう一つは、旦那にその気があれば頼みたい事が」 「断るよ。お前の頼みは、変な女を押し付け...
竜馬がゆく

文武教授

安政三年十一月 藤兵衛の話だと、会津城下で町道場を開いていた信夫左馬ノ助が江戸に戻ってきているらしい。 「やはりもとの本所鐘ノ下でさ。表の造作をすっかり変えて、見違えるほど立派な道場になってやがった。文武教授・文明館 そんな名です」 「文武...