謀者竜馬の帰還

嘉永七年三月二十五日 品川藩邸

竜馬は、土佐藩の品川陣地に戻って、桂小五郎からきいた長州陣地の模様を詳しく報告した。
しかし家老の山田八右衛門は、
「ああ、そうか」といったきりである。

二百数十年も、藩の貴族階級の位置に座り続けると、ついにその末裔の血は腐ってしまうものらしい。

「長州藩の大砲のいくつかは、青銅の灯ろうの足でござる」
とも報告した。
「それで幕府のお叱りを受けないのなら、わが藩でも灯ろうを買い込むか」と、大真面目でいった。

それから数日して、例の桂小五郎の師匠である吉田松陰という青年が、密出国しようとして幕府につかまったというのである。