六本矢車_家紋

竜馬がゆく

嘉永六年三月二十六日

その時、カラリと障子があいた。武士が立っていた。お登勢は気づかぬふりをして、竜馬を相手にたわいのない話をした。

「失礼をした」障子を閉め姿を消した。
(おかしな野郎だな)

「六本矢車は、人間を斬った顔だよ。眼でわかる」
と藤兵衛は大真面目だった。
「人を斬って退転し、今討手に追われている。あの男はわれわれをその討手とみた。だからいきなり障子を開けて確かめたのさ」

memo 龍馬の家紋

イギリスのエンブレムと並んで、日本の家紋は大変優れたロゴマーク。
身の回りにあるもの、まさに花鳥風月をシンプルに研ぎ澄ましていった無駄のないデザイン。
単色1色で表現しているので、一目で何を図案したかをわからせる。
組み合わせでバリエーションを作って、家の系列も表現する多様性。

よくできてますね〜。

坂本龍馬の家紋は、「組あい角に桔梗紋」

桔梗の紋は、明智光秀や加藤清正が使用していた紋です。そこに升を2つ組み合わせていて、ぱっと見も派手な部類の紋ですね。

龍馬の本家にあたる才谷家は「丸に田紋」という読んで字の如く丸の中に田の字が書かれた家紋を使用していましたが、直益の長男・直海が分家して武家の坂本家ができたため、その際に家紋を新しくしたのではないかと考えられています。直海は龍馬の曽祖父にあたる人物です。